1638520827898~2

生まれ育った町を走る私鉄、近江鉄道。

初めての自分で切符を買って電車に乗ったのは近江鉄道でした。
半ズボンを卒業したばかりの中学生の頃は、子どもだけで隣町へ行くっていうのが、ちょっとした冒険で、隣町のショッピングプラザ平和堂でレコードを選んだり、スガキヤのラーメンを食べて、ついでにチョコレートサンデーみたいなのを食べるなんて言ったら、そりゃもう大人の経験値がぐぐっと上がる大冒険でした。
近江鉄道を乗り継いで、JRで県を越えて京都へ行くなんてシナリオはまだ遙かに先の出来事で、今思えばずいぶんと狭い範囲のフィールドで繰り広げられてた僕らのRPGにおいて、「電車ニ乗ルコトガデキルヨウニナッタ」ってことは空飛ぶ絨毯を手に入れたぐらいの出来事でした。
当時はまだ田舎のちいさな最寄り駅にも駅員さんがいて、分厚い紙の切符にガチャリとハサミをいれてもらって、無くしてしまわないか何度もポケットの中を手で探って。いつも自転車で走り回ってた田んぼの景色が、すごい速さでガタゴトと車窓を過ぎていくのを眺める。雪の日の座席下の暖房が心地よくて、お尻がホクホク温まって、揺られながら寝そうになる。あの暖かさの心地よさは、今でも世界一だと思っています。

ガタゴトガタゴトと揺られるうちに、僕もすっかり大人を通り越して、JR西日本のシニア割引を活用するくらいの年齢になりました。最寄りの駅は無人駅になって、隣町の駅は新しく建て替えられて、おばあちゃんの買い物について行った帰りに、いつもキツネうどんを食べさせてもらってた立ち食いうどんの店は無くなり、ショッピングプラザ平和堂は大きく新しくなって、アーケードの商店街は少し寂しくなって、でも新しいことを始めるお店が増えたり。あの頃よりも40年分、僕も町も歳を重ねました。

生活の様式や、フィールドの範囲のも変化してきて、今、近江鉄道が存続の危機に立っています。車を運転できないと不便な田舎の町にとって、鉄道はそこで暮らす人たちの大切な自立の手段です。
懐かしさだけでは乗り越えられない危機ですが、懐かしさを語るにも、今と未来が必要です。
この度、近江鉄道を支える『ガバメントクラウドファンディング』が起ち上がり、その中のふるさと納税の返礼品のパッケージに関わらせていただくことになりました。

近江牛との初めてのコラボ。
切りおろしの原画を印刷した物になりますが、空の部分は一枚一枚アナログ的な感じで僕が切りぬかせてもらい、サインを入れさせてもらってます。
見るからに美味しそうな近江牛が、茜色の空を表現しています。食べ終わった後は背景にお好きな色や、空の写真を重ねて、あなたの空を飾ってもらえると嬉しいです!

ふるさとチョイスのガバメントクラウドファンディングのサイトから観ていただけます。
https://www.furusato-tax.jp/gcf/1398
ふるさと納税をご検討していただいてる方、近江鉄道をどうぞよろしくお願いします。
025H21_2
岩井亭025H21_1