ゆう太はいつもおばあちゃんが言っている言葉を
つぶやきました。
「ゆう太のゆうは勇気のゆう 
 ゆう太のゆうは勇気のゆう」
ゆう太はそっとちんちんをつかんで足を踏ん張りました。
おそるおそるジャングルジムの下を見下ろしました。
友達が大きな口を開けて笑っているのが見えました。
みんな口々に「早く飛び降りろ」と言いました。
「ああ、ぼくは、なぜ、ここのいるのだろう。」
「ああ、ぼくは、なぜ・・・・・」
だけど、いまさら悔やんでも仕方ありません。
ゆう太は意を決して足を上げました。
ちんちんをつかんで、目を閉じて、「神様」と思いました。
「ゆう太のゆうは勇気のゆう」と叫びました。
だけど、鉄棒をつかんだもう一方の手が離れようとはしません。
「ゆう太のゆうは勇気のゆう
 ゆう太のゆうは勇気のゆう」
どんなに引っ張っても、そこにくっついてしまった
ように動きません。
その時、つよい風が吹きました。
ゆう太はバランスを失ってしまいました。
頭がくらくらして、空がくるくる回りました。
慌てて鉄棒にしがみつくと、心臓がどきどきしていました。
なんだかあたたかいものがあふれてきました。
ゆう太は大声で泣きました。
友だちは大声で笑いました。

(Jolly H Roger)



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前にも書きましたが、切り絵をはじめるきっかけが、
ボールペンで落書きしたようなボクの絵を、
偶然みかけた友だちに、
「一緒に絵本かかへん?」って誘われたことからでした。
2冊目の自費出版の前に、その友だちが持ってきた
切り絵の絵本に影響されて我流で始めたのが始まりです。
『さばくのえんとつ』はふたりで出した自費出版の
4冊目になります。

やたらに急な階段をのぼったとこにある友だちの部屋で、
ふたりで持ちよった短編をつないで、
ああだこうだ言いながら本のカタチをつくりました。
ふたりで自画自賛合戦をしながら、
いつかは自費じゃなく出版されることを夢見て。
ふたりでつけたペンネームがJolly Roger。
海賊旗って意味がなんとなくいい感じで、
「外人さんみたいで、かっこええねぇ」と
これまた自画自賛してました。

友だちの書いてくる話がとても好きで、
今読み返しながらも、「こいつ天才かも」って、
思っています。
それぞれの道で踏ん張って、
お互いいい歳(もうなってる? 笑)になった時に
またJolly Rogerの旗を上げたいと思いながら、
日々頑張るこのごろです。