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切りぬいた空のむこう

おくいただしの切ったり貼ったりさぼったり…

『さばくのえんとつ』

『さばくのえんとつ』



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「おおきくなったね」
お正月になると
お年玉を手に
おじいちゃんの口癖

いつものように
細い目を
ぱちくりさせて

もうすっかり
成長のとまった
あご髭のぼくに向かって
言うのです。


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途中からブログをご覧いただいているかた、
これは23歳頃に自費出版した『さばくのえんとつ』の中の詩です。
1頁ごとに、子どもから大人になっていくように構成されてるので
右側のカテゴリー『さばくのえんとつ』のところから
古い記事から順に読んでいただけると
より楽しんでいただけるかと思います。

なお、この記事と、その前の頁の間には
以前掲載した、このがはいります。

なんか、「ご使用方法」の説明みたいで「ややこしや」すね (笑)

さばくのえんとつ



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しろいうぶげ いっぱいに
さらさらとした 風をためて
資材置場のかたすみから
たくさんの わたげたちが
とびたっていきます

「よくできた子どもばっかりで
 みんな遠くへ行ってしまうよ。」

さいごの子どもを見送った
おかあさんは
寂しそうに つぶやくのです

さばくのえんとつ


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つかみたい
両手を伸ばして
つまさきが
地面から離れるほど背伸びして

つかみたい
指先が空を掻きむしる
うぅぅ、なんて言っている

さばくのえんとつ


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誰にもきづかれないよう
こっそりと出かけよう
僕たちしか知らない
はじめての秘密
しのび足で木立を抜けて
そっと手をつないだら
黒い湖面に揺れている月が
見て見ぬふりをした

『さばくのえんとつ』


カバンのポケットから
だしては もどして
手にとって
何度もながめる

はじめて定期券を
手にした朝は
やけに空がひろくみえて

ホームからひろがる
赤錆色の線路が
ほんとうにどこまでも
続いているように
思えたものでした

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